*森ノ中ノ燈台小屋カラ*

Singer Songwriter 矢武久実の日記

遠くから凛と響く―活版印刷―

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【1445年 ドイツのグーテンベルクが活版印刷を発明】


中学の教科書に記された、たった1行の文言に心が躍ったのは何故だろう。

小学生の後半、中世の町並を写した写真により始まったドイツ偏愛は、
中学生の頃が一番のピークだったかもしれない。


たとえば、人の群れの中を歩いていて、
何十人と行き交う中、
知っている顔がもし向こうからやってきたら、
幾つもの顔の中から不思議と浮き彫りにされたその人を見つけられるように、

新聞を広げて文字の海の中に【ドイツ】という3文字があれば、
そこだけ大文字でカラー印刷されているんじゃないか、というほど顕著にすぐさま見つけられる、
という、何の役にも立ちそうに無い能力を身に付けていた。


授業中、枯渇した心持ちで教科書を開いた時に、
その3文字があるだけで、ドイツの街並みを思い出しては空想に耽る。
文章の内容がどんなものであれ、【ドイツ】という文字が現れればラインを引いて飾った。
たった3つの活字の組み合わせを神聖化でもしているような行為だった。



【1445年 ドイツのグーテンベルクが活版印刷を発明】


心が躍ったのは、とはいえドイツ由縁だけでは片付けられない。

いつ始まったのかは判らないが、
この頃にはフォント(書体)への興味があり、
祖父母の家の古い本棚から写植やレタリングの本を譲り受け、活用していた。

印刷、という世界に何か共感があったのかもしれない。
そして、教科書に掲載された印刷機の画(グーテンベルクの印刷機)と共に。


古い機械への憧憬は、自動演奏楽器(オルゴール)へと通じる。
寧ろオルゴールが起点かというのが現時点での答え。


興味が重なり、
幾つになってもこうして再び導いてくれる事は、生きる上での褒美だったり薬だったりする。



活版印刷で出逢う文字は、とても凛として心の核に響いた。












先週末、『トオイオト』というグループ展を観に、西荻窪のFALLという素敵なお店へ。



12月にあった文学フリマで、
友人が出店するブースに辿り着く前に、
私も同行の友人も活版印刷されたポストカードや豆本が置かれたブースに反応して、足が止まった。
出店されていたお店の一つが、【九ポ堂】さん。
国分寺で活版印刷をされている。


九ポとは、九ポイント(印刷文字の単位)から来ているそうで、
冒頭の写真にあるのは、作家のほしおさなえさんによる140字小説を九ポイントで活版印刷されたもの。


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こちらは九ポ堂さんの作品を紹介するフライヤー。

どこか懐かしいメルヘン。
お訊きすれば、好きな作家に絵本作家のたむらしげるさんや稲垣足穂というワード。
なるほど、私が引っ張られる訳だ。
長野まゆみさんの初期の世界にも通じる。




周りのお店を見渡せば、
以前私がクルミの美味しさを教えてもらった、クルミド珈琲さんも出店されているではないか。
クルミドさんが出版された刊行物の印刷は九ポ堂さんが手掛けられているそう。

(更に製本は何と伊那にある美篶堂さん。
そして松本のカフェにも置かれているそう。貝割れ大根が立っている!発言を思わずしてしまった素敵カフェ。)

●2013年12月20日『3年目の長野の話』




何度と無くここでも書いているけれど、
好きなものや関わりのあるもののリンクが一気に繋がったとき、
世界の狭さなのか、運命的な縁なのか、
自分が選び取っているとはいえ、
不思議な喜びを感じずにはいられない。






話は戻り、その文学フリマでご挨拶した折に、今回の西荻でのグループ展を紹介して頂いた。
手回し紙オルゴールの作家さんも参加されていたので(お逢い出来なくて残念)
足は重たかったものの、行かない訳にはいかなかった個展。
結果、行きと帰りで随分な心持ちの変化。
出逢いに救われている。


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右:140字小説のほしおさんと、九ポ堂さんのコラボカード(名刺の大きさ)
左:友人の京都土産のカード。正にほしおさんの物語の挿絵になりそうなイラスト(大きさも同じ)





最終日の閉店間際というタイミングだったので、
作家さんたちとお話する事が出来たのも、
とても良い時間になった。



西荻窪は個性的で芯のあるお店や人が、ひっそり息づいていて、
魅力的な町のひとつ。
最近縁があって、毎月のように来ているけれど、
ゆっくり珈琲を飲んだり、という時間はなくて勿体無い。
その間にも素敵なお店は増えていくんじゃないだろうか。


贅沢な悩みは未来へ預けつつ。














欲しかった言葉は
かたちを選ぶものだった


電氣の文字では聴こえない
色や薫りや空気が
必要なんだと
そうしてようやく届くほど
心は鈍く言葉を軽んじていたのだと
気付いた

花や樹木や自然のものたちと共鳴するときのように
癒されていくのが分かる


トオイオト


心は簡単には治らないけれど
大きな救いと気付き

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外では梅が咲いている












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*矢武久実<Kumi YATAKE>

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